雑感あれこれ

IQの定義・性質、高い人の特徴、よくある質問とMENSA会員からの回答

最近、テレビなどでもよくMENSA会員を謳った芸能人や、MENSA監修のクイズなどを見かけることが多くなりましたね。しかしながら、メディアでの強調のされ方や、ネット上の掲示板、IQに関するまとめサイトなどを見ていて、どうにも何か誤解があるなぁ…と思うことが多いので、まとめてみました。

今回はそんな、IQについての良くある質問について回答します。

※この内容はMENSAの一会員である shake の個人的な見解であり、MENSAの公式な見解や、会を代表する意見では全くありません。

※というか、「知能」というものが何であるのかはさっぱり解明されていないため、世界共通の統一見解・決定版の理論などは無く、人によって意見は様々です。一つの意見としてお楽しみください。むしろ、知能に関して色んな人が色んな意見を言っているのを聞いて、自分なりの「知能観」を形作っていくのが良いのではないでしょうか。

IQの意味、定義について

Q. IQとは?

A. IQとは「Intelligence Quotient」の略で、直訳するなら「知能比率」、一般的には「知能指数」と訳されます。知能の高さの度合いを数値で表現しようとする試みであり、数値が高いほど知能が高いとされます

IQは通常何らかの知能検査(IQテスト)の結果を元に算出されます。有名な知能検査としては、ウェクスラー成人知能検査(WAIS)、児童向けウェクスラー式知能検査(WISC)、田中ビネー知能検査、キャッテルCFITなどがあり、医療現場でも使用されています。信頼性はさておき、いつでもオンラインで受けられるIQテスト(※)や、ハイレンジと呼ばれる特に高いIQ領域を測ることを主眼にしたテストもあります。
(※ただし、SNSで回ってくるような「これが解けたらIQ130!」などの問題は全く無意味なものがほとんどなので、単なるクイズとして楽しみましょう。)

Q. IQの算出方法は?

A. IQの算出方法は2種類あり、「年齢算出型IQ」と呼ばれる “精神年齢と実年齢の比較” をベースにしたものと、「偏差値型IQ」と呼ばれる “集団内での統計的な位置” をベースにしたものがあります。年齢算出型IQは幾つか問題があるため最近では使われなくなりつつあり、偏差値型IQの方が妥当な算出方法と考えられます。(以後この記事では、単にIQといえば後者を指すものとします。)

年齢算出型IQ

年齢算出型IQ = 精神年齢 ÷ 実年齢 × 100

年齢算出型IQ(従来のIQ, 年齢比IQ)は、精神年齢(知能年齢)を実年齢(生活年齢)で割ることによって算出されます。例えば、実年齢5歳の子が10歳相当の知能を示せば、IQは200ということになります。

しかし、少し考えればすぐ分かるように、これだと分母、つまり実年齢が小さいうちは、ちょっと早熟なだけでかなり高い値が出てしまったり、逆に大人になった後の値はほとんど上がらなくなってしまいます。そこで、一定以上の年齢は一律年齢を固定するなどの無理やりな補正が必要になったり、「平均的な23歳の知能は精神年齢17歳9ヶ月」(1987年版田中ビネー)などの訳の分からない定義で算出することになってしまっているようです。

子育て本の売り文句でよくある「3歳でIQ200!」みたいなのは間違いなくこちらの算出方法で、ほとんど無意味です。賢い子になってほしいのは多くの親の願いですが、安易なキャッチコピーに踊らされないようにしましょう。

そもそも知能が年齢に正比例するはずもないので、知能と精神年齢を結び付けるこのコンセプトにはちょっと無理がありそうですよね。そのため、あまり年齢算出型IQは使われなくなりつつあるようです。

偏差値型IQ

偏差値型IQ(偏差IQ, 偏差知能指数, Deviation IQ, DIQ)は、「集団内での統計的な位置」をベースにしたIQです。「偏差値」と聞くと、大学受験の模試などで成績の評価に使われる数値を思い浮かべる人も多いと思いますが、全くその通り!実は偏差値型IQと大学模試などの偏差値は同じ方法で算出されるもので、統計的な意味も全く同じです。

偏差値型IQ = (その人の得点 - 平均点) ÷ 標準偏差 × 一定値(※) +100

※IQテスト毎に決まっている標準偏差を正規化するための固定値。15(ウェクスラー式)、16(田中ビネー式)、24(キャッテル式) がよく使われる。

※(追記)2019年3月に臨床心理士立ち会いのもと、キャッテルCFITを受検してきました。その際の証明書の標準偏差は16でしたので、「キャッテル式は標準偏差24」という情報は昔の話のようですね。

計算式よりも図で見た方が一目瞭然でしょう。IQテストの点数の分布をグラフにすると、こんな感じになります。(横軸:テストの点数、縦軸:人数)

Figure.1  正規分布とIQ値

そもそも知能というものの分布が、必ずしも正規分布に従うと決まったわけではないのですが、正規分布に従うとすると標準偏差±2圏内に約95%の人が入る性質が知られています。

この+2以上の領域が、MENSAの入会基準である全人口の上位2%ということになります。IQ値にするとIQ130(標準偏差15)、IQ148(標準偏差24)となり、この二つは全く同じ位置を表していますが、テレビなどのメディアでは数字が大きい方がインパクトが強いので、暗黙的に標準偏差24のIQ値を使うことが多いようです。

Q. IQが2倍なら、2倍知能が高いの?

A. いいえ。IQの値は統計的な分布の位置を示すため、差(引き算)にも比率(割り算)にも意味はありません。等しいかどうか、高いか低いか、だけを論ずることができます

前項の説明のとおり、IQは集団のIQテストの結果を点数順に並べた位置を示すものであり、順序尺度(等しいかと順序だけに意味を持つ尺度)というものになります。IQ値の分布は均等とは限らず、中央値が100なのも単にそう決めただけでしかないので、演算(計算)には意味がありません。

例えば、
IQ80の人とIQ70の人二人がかりなら、IQ140の人に勝てる!(80+70>140)」とか、
私はIQ140だから、IQ70の人の2倍頭がいい!(140÷70=2)
などと言うことは出来ません。

極端に言えば、IQ150の人とIQ50の人で、実際の知能は1.1倍しか変わらないという可能性もあります。

IQの性質について

Q. そもそも「IQが高い」イコール「頭がいい」ってこと??

A. いいえ。IQの本来の目的からすれば、「頭がいい」と同じことであるべきですが、現在のIQの定義、算出方法、測定の仕方を考えると同じではありません。あくまで「頭の良さ」の一要素と捉えるとよいでしょう

上述の定義で見たように、IQとは、IQテストの点数順に並べて、分布のどの割合の位置にいるかということを表しただけの指標です。そして何をIQの要素として定義するかによって値はいくらでも変わってしまいます。検査方法によって定義はまちまち、テスト項目もまちまちなのが実状です。

MEMO
例えば、ハーバード大学の心理学者 ハワード・ガードナーが提唱した多重知能理論(Multiple Intelligences, MI)による8つの知能の定義では、音楽的知能(リズムや音程、演奏や作曲)や内省的知能(自らを理解し、自身の行動を統制する能力)などが含まれていますが、代表的なIQテストであるウェクスラー式知能検査(WAIS)ではこの観点でのテストは全く入っていません。

そのため、これらの知能が非常に高かったとしても、それは全くWAISのIQ値には反映されません。同様に、WAISで含まれている言語理解やワーキングメモリなどの観点は、キャッテルCFITには全く入っていません。これらは知能の定義がIQテストによってまちまちである良い例でしょう。
(これは別に、ウェクスラーよりもガードナーの知能の定義のほうが正しいとか、キャッテルよりウェクスラーの知能の定義のほうが正しいとか言っているわけではありませんよ。単純に検査項目が多ければ多いほどよいというものではありません。)

検査項目を減らし、汎用的な項目のみに絞れば個別具体的な能力が測れなくなり、検査項目を増やし、個別具体的な項目ばかりになれば普遍的な知能の測定という焦点がぼやけてきます。どのIQテストも、測定項目の網羅性と普遍的知能の測定という目的の両立にジレンマを抱えているように思われます。

「知能」というものが完全解明されていない以上、どのIQテストも所詮どこかの学者が勝手に「こういう要素が、”知能” なはず…」と考えて、それに沿ったテストを作り、そのテストの得点順で並べただけの指標に過ぎません。従って、ある特定のテストで結果の値が低かったとしても、そのテストで測っている能力意外の能力が高いかもしれず、それは分かりません。(もちろん逆も然りです)

ここでは以後、

「IQ」 … 何らかのIQテストで測られる数値。この値が高くても本当に頭がいいとは限らない。

「知能」 … 考える力全般。一般的にイメージされる数学的・論理的思考能力などだけでなく、音楽・絵画などの芸術的なものから、ゲームの上手さ、リーダーシップ、創造性なども含め知的な活動を行う能力すべて。アスリートなどの寸分違わない正確な動作などの身体的精密制御能力も知能に含めるべきかもしれない。IQテストはこれらのごく一部分しか測っていない。

「頭が良い」 … 一般的な意味で、本当に頭が良いということ。真の頭の良さ、知能の高さ。

という意味合いで使うことにします。

Q. じゃあ、IQが高くても全く頭の良さとは無関係??

A. いいえ。まがりなりにもどこかの学者が頑張って考えただけあって、IQと頭の良さの間にはそれなりに相関関係があると思います。

前述のように、医療現場で使用されているウェクスラー式知能検査だろうと、インターネット上のオンラインIQテストだろうと、もちろんMENSAの入会テストも、検査項目の多寡はあれど知能のごく一部分しか測っていないことに変わりはないです。知能すべてを計測する万能なIQテストは作れません。(というか、”知能すべて” の網羅的な一覧を作成することが不可能だと思われます。)

これはこれで仕方がないので、現状は「知能の全体像は解明されていないけど、一部の幾つかの知能のテスト結果が良ければ、まぁ全体的な知能も良いはずだろう」という仮定をして、真の頭の良さを推定しているということですね。つまり「木を見て、森を予想する」的な推論です。そして、その仮定はある程度は正しいと思います。IQが高い人を調べたとき、頭が良い人である確率はランダムサンプルより有意に高いでしょう。

ただ…、IQテストの点数が良かったからすごいだとか自慢しているような人は、たいして頭が良くないと考えてよいでしょうね。IQは知能のごく一部しか測っていないのに、それだけでさも本当に頭が良いかのように自慢してしまうのは、大人になった後の同窓会で、中学のときの期末テストで1位を取ったことを自慢するくらいイタイです。本当に頭の良い人であれば、たった一つの指標(IQでも、学歴でも、年収でも)のみで知能の高低を語ることの愚かさを良く理解しているはずです

Q. IQって生まれつき決まってて後天的には上下しないの?

A. いいえ。生涯不変の固定値かのような誤解がありますが、加齢やテストの種類によって上下します。そして、IQでも総合的な知能でも、後天的に向上させることは可能であると考えます。確かに、遺伝的な差異による影響や、後天的な努力では向上させづらい幾つかの能力があることは否定できませんが、全体的に見れば後天的な要素が知能向上に寄与する割合は大きいと思います。

知能の分類の仕方の一説として、知能は多因子から成り立っており、大きく「結晶性(言語性)知能」「流動性(動作性)知能」に分けられるとする考えがあります。

結晶性知能とは、学校で受けた教育や、仕事・社会生活の中で得た経験に基づいた知能である。例えば、言葉の分析、単語力、語学能力などは、この結晶性知能によって行われる。

一方、流動性知能とは、新しいことを学習する知能や、新しい環境に適応するための問題解決能力などのことである。

引用)レイモンド・キャッテル – Wikipedia

結晶性知能は、経験に基づく知能であり、後天的な教育・学習などによって普通に向上させることが可能と考えられます。いわゆる学校の勉強の能力は頑張って学習すれば向上するはずで、これにはあまり異論は無いかと思います。

一方、流動性知能は新しい状況に対応する知能であり、こちらが生来のものと考えられがちなのだと思いますが、こちらも後天的に変化するという研究結果があります。

Figure.2  系列法によって推定される知能の発達曲線

出典)知的機能の変化と適応 – 東京大学 高齢社会総合研究機構

同一個人の加齢に伴う知能の変化の研究によるデータでは、結晶性知能と流動性知能とでは発達曲線が若干異なるものの、結晶性知能・流動性知能ともに後天的に概ね60歳くらいまで継続して向上することが示されたものがあります。

知能は年齢とともに変化するため、知能の一部であるIQが生まれつきの値で固定であるというのは誤解です。また、同一人物が同時期に別の種類のIQテストを受ければ値は変わりますし、同じ種類のIQテストを複数回受けてもそのときの調子によって点数は多少変わるでしょう。そもそも一定不変の値は出ません。もちろん、IQは「集団内での統計的な位置」ですから、全ての人が全く同じ発達曲線を描くのであれば集団内の順位も変わらないということになりますが、実際には個人個人の知能の発達度合いは異なり、より伸びる人・伸びない人が出てきますから、順位はある程度入れ替わると考えられます。そして、その「伸びる or 伸びない」に最も影響を及ぼすのが、後天的な環境や教育、学習、努力であると考えます。

もともとIQの目的は、環境や教育によって影響を受けない、生来の知能の指標を作ることにあったのだと考えられますが、実際のところ「結晶性(言語性)知能」などは明らかに後天的に得た知識が計測内容に含まれており、設計思想がブレているように思えます。結局、学者たちも「生来の知能」というコンセプトでは知能を考察するには不足であり、経験や教育に基づく後天的な要素も「知能」に含めるべきだと後になって気付いたのでしょう。

MEMO
特にエビデンスはありませんが、私個人の主観的な感覚としては、例えば所謂学力偏差値の低い状態で一度IQテストを受けて、その後ドラゴン桜的な手法でバリバリ勉強して学力偏差値を高め、その状態でもう一度IQテストを受ければ、たぶん飛躍的にIQ値は上がるのではないかと思います。数学を学習することによる演繹・帰納の反復練習、受験勉強における問題のパターン化とその応用、大量の単語や知識の暗記などの訓練が、学力だけでなく一般的なIQテストの項目にもマッチし、その点数の向上にも多分効くと思います。

そのため、IQ値と学力偏差値の間には相関があって、且つ、相互に因果関係のある相乗効果のある指標のように思えます。素の状態でIQが高い人は勉強すれば学力が向上しやすいし、勉強により学力が向上した人はIQ値も自然と高まっているのではないかと思います。

IQが高い人の特徴

Q. 何かIQが高い人の共通点ってある?

A. 幾つかの観点があると思いますが、最も多くの人が該当する印象としては、「頭の回転が速い」ということでしょうかね。思考や学習のスピード、状況分析や論理展開の速さが共通点として挙げられると思います。続いて、汎化能力論理的思考能力 などが高いことがそれに続く共通点だと思います。

一方、学歴や年収、社会的地位といったものは、上記の要素よりも共通しないでしょう。IQがいくら高かろうと、生まれながらに財務会計の知識を持っているわけがありませんし、ゼロから微分積分法を構築できるわけでもありません。教育や勉強、努力はそれらを得るのに不可欠であり、IQが高いだけではそれらを得ることは出来ないでしょう。(やろうと思ったときに、”比較的うまくやれる” 確率は高いと思いますけどね。)

あとは、興味があることにはとことん幾らでも集中してのめり込むことができるが、興味がないことには本当にさっぱり興味がない、という傾向も強い気がします。ある程度やってみるとだいたいどういう結果になるかが予想できてしまうので、本人が面白みを感じないことにはあまり労力をかける気がしない、というのが根底にあるのかなと感じますね。

Q. 特殊能力を持ってるの?

A. もしかすると何らかの特殊な能力を持つ人の割合は比較的多いかもしれませんが、大半は別に何も無いでしょう。でも、特に珍しい能力を持っていなくても、頭の回転がかなり速い、特定の分野での知能が顕著に高いこと自体も、言ってみれば特殊能力と呼んでもよいのではないでしょうか。

以前テレビ番組に、MENSA会員で文字に色が付いて見えるかたが出演されていました。あれは共感覚というもので、ある刺激に対して通常の感覚だけでなく別の感覚も感じる現象のようです。 例えば、文字に色を感じる「色字」、音に色を感じる「色聴」などがあります。

最近では共感覚はそれほど稀な感覚ではなく、持つ人は少なくないと考えられているようですが、まあ共感覚でも絶対音感でも映像記憶(眼に映ったものを写真のように瞬間的に記憶する能力)でも、IQと特に相関はなく、幼少期の体験・訓練による影響のほうが大きいでしょう。(映像記憶は我々が小さい頃には皆持っていた能力のようです)脳科学的には、共感覚は脳の処理する部分の役割分けがうまく発達せず、分化がきっちり行われなかった(色聴であれば脳の聴覚を処理する部位と視覚を処理する部位の分化がきっちり分けられなかった)ために発生する現象だと言われているようです。あまりIQ値と関連は無さそうに思えます。

「IQの高い人の中で、字に色がついて見える人」の割合よりも、「幼少期から楽器を演奏している人の中で、音に色がついて聴こえる人」の割合の方が普通に高いでしょうね。

Q. ギリシャ足多いの?

A. 確かに、IQの高い人のギリシャ足の割合は高そうです。所感では7割くらいがギリシャ足といったところでしょうか。「IQが高い人に、ギリシャ足が多い」というのは確かに正しいように思われます。しかし、最近の若い世代では全体の半数以上がギリシャ足のようなので、もともと最大多数派がギリシャ足というだけで、IQの高い低いに特に関係はないかもしれません。

ギリシャ足とは、足の形の分類の一つで、人差し指が一番長いタイプの形のことです。上の画像のような足の形ですね。

  • エジプト型:親指(第一趾)が最も長いタイプ
  • ギリシャ型:人差し指(第二趾)が最も長いタイプ
  • スクエア型:親指と人差し指の長さが同じタイプ

で、MENSA会員の割合を調べたところ、どうやら8~9割がギリシャ足だったという記事があります。

彼女の非公式調査によると、世界大会に集まった会員の実に5人に4人、つまり80%がギリシャ足だったとのこと。これは上記の理由から欧米系会員の80%と解釈していいだろう。

しかし、この足型の偏りは欧米系会員に限らない。メンサの日本支部「JAPAN MENSA」でも、会員(900人のうち)10数人の足を調べたところ、なんと90%がギリシャ型と判明したそうだ。

引用)ギリシャ型は知能指数が高い? 高IQ集団メンサ会員の80%はギリシャ足

さて、この情報だと、てっきり「ギリシャ足=IQが高い」と思い込みそうになりますが、ちょっと鵜呑みにするのは早計です。

IQが高い人を調べて、実際にギリシャ足が多かったとしても、それだけで直ちに相関があると判断することは出来ません。例えば、MENSA会員に共通する別の要素が原因となっている可能性や、そもそもIQに関係なく全体的にギリシャ足が多いという可能性があります。
(※この元記事の日本人の足タイプ比較の分布データが古すぎて、2019年現在の分布と全く異なっていると思われます。記事ソースを辿ると、1974年付近のデータのようでした。ざっと40年以上前ですね。)

そこで反証の例として後者の「全然IQに関係なく元々全体的にギリシャ足が多い」という仮説を検証してみました。Instagramで “ペディキュア” で検索し、足の型でカウントしてみると、結果は 100 人中 72人がギリシャ足、という圧倒的ギリシャ足率でした。(一人で見てると変な趣味と勘違いされかねないので、妻と一緒に調べました。笑)つまり、IQ関係なく無作為に調べても元々7割以上ギリシャ足なわけです。記事のサンプル数は5人とか十数人なので、偶然ちょっと高めに出ても全くおかしくはないので、統計的に有意かどうかは判断できませんね。

また、「交通機関の発達により最近の若い世代の半数以上がギリシャ足」という情報や…、

ところが近頃の若者の間では、「ギリシャ型」が急増しているという。

「若い子ほど欧米型の足になってきていて、いまの大学生あたりは、男女問わず、半分以上の人が人指し指が長い。交通機関の発達で歩くことが少なくなり、足の親指を使っていないことが大きな理由です」

引用)交通機関の発達で足の親指を使わない「ギリシャ型」若者急増

「知能が高く、よく考える人たちは、圧倒的に活動量が少なく、のんびり過ごすことが多い」という調査結果もありました。

The researchers, led by Todd McElroy, then selected 30 ‘thinkers’ and 30 ‘non-thinkers’ from the pool of candidates. Over the next seven days both groups wore a device on their wrist which tracked their movements and activity levels, providing a constant stream of data on how physically active they were.

Results showed the thinking group were far less active during the week than the non-thinkers.

引用)Research suggests being lazy is a sign of high intelligence – The Independent

IQが高い人がギリシャ足なのではなく、単に比較的若い人やインドア派で足の親指を使わない人がギリシャ足なだけかもしれませんね(笑)

以上、ギリシャ足性格診断でした。

Q. IQが高い人に発達障害が多いって本当??

A. いいえ、そんなことはないでしょうこれは恐らく、知能検査が発達障害や疾患の判断材料の一つとして診療で使用されており、逆にそういった可能性がない場合には、わざわざ保険の利かない正規料金で知能検査を自腹で受ける人がほぼ居ない、ということから来た迷信だと思われます。

要するに、「心療内科で医師の診断をもらって知能検査を受けたことのある人」は、IQが高い人も低い人も両方含めて、発達のお悩みを抱えている可能性が高いので、その母集団の中から「IQが高い人」だけを選んでも、やっぱり発達のお悩みを抱えている可能性が高いということです。これだけを見て「IQが高い人に発達障害が多い」と判断するのは明らかに誤りです。実際には、「心療内科で医師の診断をもらって知能検査を受けたことのないIQの高い人」はいっぱい居ますから。

一方、「IQが高い人に発達障害が多い」の逆で、「発達障害の人にIQが高い人が多い」という可能性なら、もしかしたらあるかもしれません。例えば、目が見えない人を調査したら、きっと聴覚が優れている割合が高いでしょう。これを「耳がよい人は、目が悪くなる可能性が高い」と理解するのは不自然ですが、「目が見えないからこそ、耳が良くなった」と考えるのは自然です。

それと一緒で、ある特定の認知能力が低い代わりに、他の認知能力が高くなるという可能性はあるかもしれませんね。

IQにまつわる噂、素朴な疑問

Q. IQが20違うと会話が成り立たないってホント??

A. 最高思考スピードで話す場合は、そうなるでしょう。ですが、本当に頭のいい人は、会話というものがきちんと双方向に意思疎通が取れていないと無意味であることを理解しているので、相手の理解度を伺いながら、相手に合わせて会話の速度を調整することが出来るでしょう

私はこれを、バイクのツーリングに例えます。
最高速度が時速130kmと時速100kmの違うバイクで併走するとして、一人が時速130kmで走ってしまったら、どうなるでしょうか?

当然、もう一人は置いてけぼりになってしまいますよね。それはもう「併走」とは言えず、もはや「独走」です。コミュニケーションに話を戻せば、ちゃんと「会話」が成立しているのか、一方的な「独り言」になってしまっているのかが、これにあたります。

IQ130の人が、IQ130の思考スピードでしか話せず、相手を置いてけぼりにした独り言を延々続けてしまうようであれば、それは時速130kmでしか走れないブレーキの壊れたバイクと同じで、あまり性能の良い頭とは言えません。本当に頭が良ければ、そんな状況に陥ることは無いでしょう。

また、IQが高い人に早口で話す人が多い印象があるのも、思考スピードの速さが関連していると考えられます。言葉を口に出すスピードよりも考えているスピードの方が圧倒的に速いために、なんとか追いつこうとして早口になったり、呂律が回らなかったりしてしまうのでしょう。

これも似た例を挙げるなら、会議の議事録を取るときに、会話のスピードに対して筆記やキーボードのタイピングが追い付かない感覚が近いと思います。

Q. 東大とMENSAどっちが強いの?

A. 強いって(笑)。優劣ではなく、単にレア度だけで比較すれば、学力偏差値70(標準偏差10)と、IQ130(標準偏差15)、IQ148(標準偏差24)の算出方法・統計的な位置は全く同じです。

では、その違いは何か?というと、「テストの内容が違う」というだけです。学力偏差値は、数学や現代文、英語などの受験科目のテストの点数が対象であり、IQはIQテストの点数が対象ということです。身も蓋もないですが。

それぞれのテストで問われる資質が異なるため、比較することは出来ませんし、優劣をつける意味もないかと。まあ、東大生のIQは確実に平均よりかなり高いでしょうし、MENSAを受ければ受かる人も多いでしょうから、そういう意味でも、比較する意味がないかもしれませんね。

尚、検索すると「東大生の平均IQは120」という説が多数見つかるのですが(TV番組のキャプチャでもこのように説明しているものが見つかります)、IQテストの種類も、標準偏差の値も何も明記されておらず、東大生が皆IQテストを受けているわけもないので、ソースは不明で信憑性は高くないと思われます。東大の偏差値は70(標準偏差10)付近ですから、この統計的な位置はIQ130(標準偏差15)、IQ148(標準偏差24)と同じになります。

なお、「どちらが難しいか?」であれば、東大だと思います。上で「IQがいくら高かろうと、生まれながらに財務会計の知識を持っているわけがありませんし、ゼロから微分積分法を構築できるわけでもありません。教育や勉強、努力はそれらを得るのに不可欠であり、IQが高いだけではそれらを得ることは出来ないでしょう」と書いたように、入学試験に合格するためには、それ相応の勉強が必要です。最高学府の東大合格のためには、膨大な知識量と訓練が必要ですので、努力が必要な分難しいといえるでしょう。

IQテストは、通常問題の形式や具体的内容が公表されておらず、「予備知識なしの素の状態」で受けることが前提となっていますが、逆に、問題の形式や具体的内容、過去問などが公表されていて、傾向と対策をきっちり準備して臨めるのであれば、誰でも130くらいの値は叩き出せるのではないかと思います。それでもIQテスト満点みたいな化け物(褒め言葉ですw)は、東大理三クラスの別格だと思って良いでしょうね。そしてそれは、プログラミング世界一とか格闘ゲーム世界一とかぷよぷよテトリス世界一とかと同じで、どんなジャンルであれその道を究めたトップ層はすごい、というのと変わらないと思います。

Q. IQ 130(MENSA入会基準)って、実際どうなの?すごいの?

A. すごいと感じるかどうかは人によりますが、大きめの1クラスに1人居るくらいなので、それほど珍しいというわけでもないでしょう。メンサの謳い文句「全人口の上位2%のIQ」は、わざわざ大げさな言い方をしているだけで、人数比にすれば「50人に1人」でしかないです。IQ 130ちょうどなら、まぁ普通に頭がいい人である可能性は高いとしても、世紀の大天才とかいうこともないでしょう。

ただし、IQ 130 というのは MENSA の入会基準であり最低限の値なので、会員の中には普通に IQ150 とか 160 (標準偏差15) とか居たりします。私見としてはそういったIQテストの測定上限値近くは、あんまり汎用的な知能の測定結果として妥当ではなく、もはや単にそのIQテスト内容が特に得意な人にフィットしてるだけな気もしますが、それだけの高得点を叩き出すこと自体は、もちろんすごいと思います。

MENSA 会員の中でも、入会テストを通っただけで「俺超すごい!全人類の上位2%!(ドヤッ)」なんて人は少なく、「まぁ、あれは簡易的なチェックでしかないよね」程度の認識の人が多いですね。そしてそういう認識の人の方が、高い知性を感じさせる印象ですね。

Q. IQが高いほうが優れてる人間だと思う??

A. 最後に、この質問を持ってきてみました。はっきり、強く、違うと断言しておきます。人としての優劣などありません。人それぞれが持っている単なるツールの一つだと思えばいいでしょう。

個性は様々です。
容姿端麗なひとはそれもいいでしょうし、料理が上手とか、愛嬌があるとか、のほほんとしてるとか、爪のかたちがちょっと綺麗とか、ほら見て!わたし耳を自分の意志で動かせるの!とか。

IQが高いことは、ちょっと頭の回転が速いだけで、結局はそのツールを使って、どう役立てることができるか、何を生み出したか、社会の役に立ったのかの、実績ベースで評価すべきでしょう。IQが高いだけの無能は、IQが低い無能と同じ、いや、むしろよりタチが悪いかもしれません。便利なツールを持っているのであれば、どうせなら善いことのために役立てるのが望ましいのではないでしょうか。

最後は、ギネスブックに最もIQの高い人物として登録されている、マリリン・ボス・サバントさんの言葉をもって、締めの言葉としたいと思います。

「知性は自己実現の手段になるだろうし、手段であるべきなのかも知れない。でも、たんに人間性の一面、人の一部ということでもいいんじゃないかしら。少なくとも私はそれで十分だと思っているわ。」(マリリン・ボス・サバント)

長々とお読みいただき、ありがとうございました。

今回のまとめ

  • IQは知能の一部を測る指標であり、必ずしも「真の頭の良さ」と一致しない。そんなのが高いくらいで自慢しちゃうと、恥ずかしいよ。
  • IQが高い人に共通するのは、頭の回転が速いということ。その他の要素は結構バラバラ。でも、ギリシャ足かも。笑
  • IQは単なるツールで、個性の一部。もし高いIQを持っていたなら、どうせなら善いことのために役立てよう。

ではでは今回はこの辺で。

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