最終的に寿命の多寡は有れど、誰もが平等に、同スピードで消費し、溜めておくことも、増やすこともできない重要なリソース、時間。この限られたリソースを、効率良く、効果的に使うために、どのような考え方が適用出来るのか?
今回は「時間管理」について考察します。
1日は24時間ではない
「何を言っているんだ?1日は24時間だろう。」と思われるかもしれません。
そうですよね、そんなふうに思っていた時代が私にもありました。
ですが、残念ながらそうではないようです。
Figure.1 一般的な週間スケジュール
上記は24時間×7日の計168時間の表です。
ここには「9~19時の週5勤務」「支度・通勤各1時間」「睡眠7時間」というたった三つの条件を書いただけですが、これだけであっと言う間に平日は残り4時間、週末は残り17時間の週合計54時間しかない状態になります。1日平均だと8時間弱。つまり、社会人にとっては、1日は24時間ではなく、現実的にはたったの8時間だったようです。食事やお風呂、育児など他にも必要なものを考慮すると、更に残り時間は減ります。
この貴重な時間を極力有意義に活用するためには、漫然と過ごすだけでは駄目で、何らかの工夫が必要になりそうです。
それが、「時間管理」です。
時間管理の目的
さて、それでは時間管理の目的について、もう少し深く考えてみましょう。
「時間が足りない!!」
忙しい現代人は、口々にこう言い、実際そう感じている人が多いと思います。
しかしながら、「何に、どのくらいの時間が足りないのか」について明確に認識している人は多くありません。
- 私は家事に1時間足りない。
あと1時間あれば、もう少し床水拭きと洗濯をする頻度を増やす。 - 私は勉強に2時間足りない。
あと2時間あれば、弁護士資格取得のための条文暗記の時間を増やす。
このように具体的に言える人がどれだけ居るでしょうか。大体の場合、「時間が足りない!」とは言うものの、「何となく忙しい」「やりたいことが出来ていない」くらいの状況だけでそう判断していることが多いように思います。
時間管理の目的は、「したいことをするための時間を増やす」ことにあります。
時間管理は決して、「時計をいつも握りしめて分単位のスケジュールをこなし続ける」といったものではありません。もしあなたの「したいこと」が、「公園の芝生で何も考えずにぼーっと空を眺めること」であれば、それをするための時間を生み出すことが時間管理の目的になります。
時間を生み出すためには、前述のように細かく明確に認識しているほどではなくとも、ある程度の整理が必要です。そこで今回は、時間管理の現状把握のために私が使っている方法をご紹介します。
「忙しい」を可視化する
【準備するもの】
紙一枚、ペン、以上
※基本的に紙に手書きをお勧めしますが、PowerPoint 雛形 (.pptx) も公開しています。
ダウンロードはこちら。(DropBox 上のプレビューでは表示が崩れていますが、PowerPoint で開けば問題ありません)
まず縦横二本の軸を引きます。
横の軸は、「したい」か「したくない」か、です。これはそのまんまですね。
縦の軸は、「強制力がある」か「強制力がない」か、です。「やらなければいけないこと」かどうか、と言い替えてもよいですね。
次に、現状の「時間がかかっていること」について記入していきます。例えば、今の仕事は、興味があってやってて楽しいことが半分、気の進まないつまらないことが半分だとします。また、基本的に仕事は任意にやらなくてよいものではありませんから、強制力があります。記入するとこんな感じになります。占める時間が大きいので、大きめに記入してよいでしょう。
次に、家族や友人と過ごす時間をとても大事に考えているとしましょう。それは特に誰に強制されているわけでもないので、右下の方に記入します。また、掃除洗濯が億劫に感じているものの、やらないわけにもいかないという状況は左上に記入します。
同様にどんどん、記入していきます。直感で構いません。今はほとんど時間が取れていないけれど、時間があればしたいと思っていることも是非入れておきましょう。
最後に、記入した項目の「ジャンル分け」をします。特に重要な「最もしたいこと」は、”重要テーマ” と位置付けておくのがよいでしょう。
Figure.2 現状の時間の用途の整理
以上で、図は完成です。
「忙しい」を考察する
この図から得られる洞察は以下の三点です。
Figure.3 時間管理の目的
一つ目は、時間管理の目的どおりです。繰り返しになりますが、時間管理は「したいことをするための時間を増やす」ためにあります。従ってこの図では、「左側の項目にかかっている時間を減らし、右側の項目にかける時間を増やす」ということを意味します。
Figure.4 したくないけど、しなければならないこと
二つ目は、「左上にあるものは、完全に無くすのは困難」ということです。この領域にある項目は、やらなければならないものですから、さっぱり無くしてしまうのは難しい。そのため、この領域に対する方針としては、それにかかる時間を削減するための効率化や、その項目自体をより「したい」方向に変容させる、といったアプローチになります。自分の好きなことを仕事にするために転職する、などは後者の最たる例でしょう。
Figure.5 したくないうえ、する必要もないこと
三つ目は、「左下にあるものは、完全に無くすことが可能」ということです。後ろ髪を引かれる思いはあるでしょうが、思い切った断捨離が功を奏す可能性は高いです。だって、ここにあるものは、したくもないし、する必要もないものなのですから。ね?
図の読み方を理解したら、具体的な施策の検討を進めます。
時間を捻出する
世の中には、プラスを生み出す方法はたったの2パターンしかありません。「プラスを増やす」か、「マイナスを減らす」か、の二つだけです。時間管理においても、この鉄則が適用できます。
上述した例で考えてみると、以下のようになります。右側に位置付けられた項目、つまり「したいこと」に時間を振り分ける方針と、左側に位置付けられた項目、つまり「したくないこと」に費やす時間を減らす方針を項目のジャンル別に検討していきます。施策は可能な限り具体的な方が良いでしょう。実践可能な施策にこそ意味があります。
Figure.6 時間捻出の具体策の例
以上が「時間管理」実践の一案になります。
あなたの現在置かれている状況によっては、検討を重ねても、捻出できる時間がほとんど存在しない場合もあるかもしれません。でも、今はどうにも忙しくても、自分の「本当にしたいこと」を明確に認識しておくことは、今後の人生における時間の使い方の指針となるでしょう。決して無駄にはならないものと考えます。
今後まだまだ長い人生、うまく時間というものと付き合いながら、有意義な時間を過ごしたいものですね。
今回のまとめ
- 時間管理の目的は「したいことをするための時間を増やす」こと。
- 「忙しい」を可視化し、現状をきちんと把握しよう。改善の種がきっと見つかるはず。
- 「したくないこと」を減らし、「したいこと」を増やす、具体的な策を打とう。時間は湧いては出てこない。捻り出すものだ。
ではでは今回はこの辺で。
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