雑感あれこれ

「運」の話。②成功する人は “運がいい” のか?

さて、今回は「運」の話 その2です。
今回は「成功した人は自分のことを『運がいい』と思っていることが多い」、このメカニズムを考察してみたいと思います。

本記事は単体でもお読みいただけますが、前回の運の話は、こちら。↓

成功した人は自分のことを『運がいい』と思っていることが多い

前回の「運」の話。①運の性質と最善の対処法 を現役の臨床心理士である友人に読んでもらったところ、こんな感想を貰いました。

友人
ブログ見ました!僕にとっては知りたいと思いつつも結構謎だった、shakeさんの頭の中をそのまま見てる気がして、すごくおもしろいです。

shake
お忙しいところありがとう!っていうか、俺のこと謎だと思ってたんだ(笑)

友人
「私運が悪いんです」「運をよくするにはどうしたらいいんですか?」って、結構仕事で聞かれます。
その人が何をもって、どういう判断基準で運がいいとか悪いとか言ってるかもありますが、僕としては、その人の「運が悪い」という自己認識のあり方がおもしろいです。

「雨男/雨女」という言葉がありますが、そういう風に自己認識すると、それに当てはまるデータだけ人は集めていくので、どんどんその認識が強化されます。(自己成就的予言、といいます)。自分が自分に対して、人に対して、どういう考えをもっているかは、その後の自分や相手のあり方に大きく影響するからです。

僕の実感では、実際実力があって結果も出てる人は、自分が運に(まわりに、人に)恵まれてると思ってる人が多いように思います。

shake
おぉ、それ面白い話だね!次回のネタに使わせていただくかも!

…ということで、どうも「実際実力があって結果も出てる人」は、自分のことを「運に(まわりに、人に)恵まれてる」と思ってる人が多いみたいです。

さて、このことは、彼らは実力だけでなく本当に運も良くて、それが相まって成功しているということを示しているのでしょうか。やっぱり、運が良くないと成功はできないということでしょうか?

いえ、単刀直入に言えば、成功する人がみな運がいいことはありえません。成功する人は少数とはいえ、世の中全体で考えれば結構な数います。(例えば、国税庁の申告所得税標本調査による平成28年の所得2000万円超の人は29万4千人です。申告納税者の4.6%であり、22人に1人。少ないとは言えないでしょう?)これだけ居れば充分大きな数で、運は完全にランダムですから、大数の法則により運がいい人と悪い人はきれいに分散し、割合は半々になるはずです。

でも、なぜか成功した人は、自分のことを『運がいい』と思っていることが多いようです。いったい何故、そのような自己認識に至るのでしょうか?

成功した人は、運が良かったのではなく、「超絶不運ではなかった」ことに感謝している

前回考察したように、運に対峙するときの最善の戦略は「制御不能な運のツキに大事な結果を左右されないよう、揺るぎない実力を付けておくこと」でした。

成功する人はこのことを当然はっきりと認識しています。安定して成功する人に実力が無い人はいません。しかしながら、しっかりと実力を付け、ちょっとくらいの悪条件なら軽くハネ返せる力を持つ彼らにも、とても恐れるものがあります。

それは、「超絶不運」です。

こればっかりは、確固たる実力者である彼らにもお手上げです。例えば、こんな状況です。

あなたは高校球界で最高のバッターで、どんな相手からも、100%確実に全打席ホームランを打つことができます。長年の夢だった甲子園優勝に向けて、練習に一層力を入れていましたが、甲子園の直前にチームメイトが不祥事を起こしてしまい、甲子園出場そのものが取り消しになってしまった。
あなたは天才で、どんなテストでも絶対に満点を取ることができます。第一志望の東大も合格間違いなしですが、住んでいるのは大阪で、未曾有の大雨により陸海空全ての移動手段が一週間前から完全に停止してしまい、受験日に東京に行くことが出来なかった。

これらはもう、不運としか言いようがありません。彼らに落ち度はなく、万全の準備をしていたとしても、出場すらできないのではその実力を発揮する機会すら与えられず、どうしようもありません。

え?そういった事態まで全て想定していなかったのが悪い?東日本大震災のときの堤防の高さについての浅はかな指摘みたいなこと言いますね。あらゆる事態を想定するのは不可能であり、また、起きる可能性のかなり低い事象に対してどこまでのレベルを想定し、その対策として現実にどれだけのコストをかけて備えるのかは常に費用対効果の吟味が必要で、過剰な対策は大抵コスト負けします。つまり合理的ではないということです。

それと同じで、あらゆる「超絶不運」の想定は困難であり、またたとえ事前に想定できていたとしても多大なコストをかけて対策を取ることも現実的ではありません。従って、基本的に超絶不運については “それが起こらないことを祈る” しかないのです。そして、幸いにも現実に起こらなかった場合は、「はぁ、良かったぁ〜。さすがにそこまでのヒドい事態は起こらなくて助かったー!」と感謝するのです。

地道に努力し、実力を付け、万全の準備をした人にとっては、あとはもう超絶不運だけが起こらなければ充分です。だから、超絶不運でなければもうそれだけで運が良いと思えるのだと考えられます。

普通の運でも、「運が良かった」と思えるポジティブなマインド

以上が、安定的に成功する人、つまり実力のある人が、自分のことを「運がいい」と思っていることが多い理由です。

彼らは決して、凄く運が良かっただけで成功したわけではありません。確固たる実力を付けることは当然として、そのうえで、超絶不運には見舞われずに済んだことに安堵しているだけなのです。これを真に受けて「フン!あいつら運がいいだけで成功しやがって!」と捉えてしまうのは、いかにも卑屈で、単なるやっかみというもの。彼らは、取り立てて幸運でもない普通の運でも、「運が良かった」と思えるポジティブなマインドを持ち合わせているとも言えるでしょう。

重ねての結論になりますが、「揺るぎない実力を付けておくこと」が、運に対峙する際の最善の戦略です。それを以てしても超絶不運には対抗できませんが、それは誰にもどうにもならないので、皆同じであり公平な条件であるとも言えます。

人が大勢いれば確かにその中に幸運な人は存在しますから、たまたまの幸運で一発当てた人を羨ましく思うことがあるかもしれません。でも、実力が伴わないのであればどうせ長続きはしないので、羨むに値しません。他人の幸運を羨ましがる暇があるなら、自分の実力を上げることに時間を使うべきです。それに尽きますね。

今回のまとめ

  • 成功した人が「いやぁ、運が良かっただけだよ」と言っているのはただの謙遜。超絶不運でなかったことに感謝しているだけで、実力が無い人はいない。
  • 「超絶不運ではない」というだけで、「けっこうツイてるじゃん!」と思えるくらいポジティブなマインドが望ましい。
  • もし超絶不運に見舞われてしまっても、それは本当に運が悪かっただけであり、あなたのせいではない。悩んでも無駄なので、さっさと忘れて次に行こう。

ではでは今回はこの辺で。

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